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遙か1〜5、コルダ3のSSをネタバレ含みつつ好きなように投下
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響ニアです
くっついて間もない頃と思われる二人を捏造
とてもなんとなくなテイスト、日常っぽいだけの話
なにもしてませんが一応それっぽいのでR15で
響也視点


続きにたたみます




* Which Comes First, Egg or Chicken? *





夕食の献立がオムライスだったからそんな話題になったのか、
本当のところはわからない。


それはかなり美味かったんだが、
仁亜のほうは半分ほど手をつけたところでスプーンを置いていた。
丼ものとチャーハン系はあまり進まないらしい。
むしろそういう系を好んで選ぶオレには理解しがたい傾向だが、
仁亜はもっとこう、流動食みたいなのが好きらしく、
そう聞いて、確かにそれっぽい女だとは思った。
理由はない。強いて言えば顔か?


向かいから突き出された食べかけのオムライスを、
オレは渋い顔で引き取ったは引き取った。
だが、言うことだけは言わせてもらった。
食えねーのわかってんなら、最初からその分オレんとこに取り分けとくとかできんだろ、
みたいなことを。


ま、似たようなことはこれまでに何度も言ってる。
だからもう直らねぇんだろうなってことはわかってるんだが、
奇跡ってのは決して起こらないと決まってるもんでもないだろと思う。
むしろ起こるから奇跡って言うんだろ、みたいな気持ちだった。


とは言えオレは生まれてこの方奇跡的ななにかを見たことはない。
だが見られるなら見られないよりやっぱそれはラッキーなワケで、
そういうヤツに必要なのは、
諦めてやめることよりは、ダメもとでも継続したほうがいいってことだ。


閑話休題、もとい、
夕食の献立がオムライスだったからそんな話題になったのか、
本当のところはわからない。


「タマゴだろ」


オレはPSPの○ボタンを連打しつつ質問に答えた。


「そうか? ではそのタマゴは誰が生むんだ如月弟」
「……あぁ確かにニワトリだな。だがニワトリもタマゴがねぇとそもそもいねぇって話だろ」
「ではヒヨコあたりに鍵がある、ということになるな」
「あ、ちょ待て連携考えろって。装備薄いくせにやられんぞ」
「だから強化しておけと言うのに」
「自分のキャラは自分で地道に育成する。これ基本な」


それ以後も仁亜は連携を無視し、好き勝手に操作した。
全くオレの忠告は役に立っていないことが伺える。
オレひとりでどんだけやってもこのクエストは失敗に終わるんだろうなと思ったら、
必死にリカバーしてんのもバカバカしく見えるような気がして、
はいはいもういいです的な適当プレイに切り替えた。
もう猫背になってまで画面に見入る必要はない。
身を起こしてベッドに浅く凭れたら、凝り固まってた筋肉がいい感じに解れてく。


「なぁ仁亜」
「そちらこそやられるぞ」


両肘をついて床に寝そべった恰好の仁亜は後ろ姿で答える。
一応画面はちゃんと見てんのか、手元も一応動かしている。
長くはない制服のスカートから短くはない足が伸びていて、
クロスさせた踝をユラユラやってんのが、どうしてもチラ見を誘う。


「いや、もういいんだけどよ」
「ほう」
「『弟』いらねっつってんだろ」
「弟だろう? 兄との判別くらい必要だと思ってのことだが?」


とは言うが、いつもこんなふうに呼ぶ訳じゃない。
確かに前は「如月弟」でデフォルトだったが、いまはそうじゃないという意味でだが。
つまり仁亜がわざわざ「弟」をつけるときは、なぜわざわざそうしてんのかを、
オレに考えろと言ってるのと同義だ。多分。
だから一応つっこんどかないと後でめんどくせーことになる。気がする。


なんだかんだこいつも女だと思うのはこういうときだ。
だいたいニワトリとタマゴの話は、幾ら話したって答えは出ない。つかない。
答えのない話を女が振ってくるときは、往々にして答えを知ることが目的じゃない。
大抵は、聞いたことの答えは既に自分の中で出てるくせに、
わざわざ男に尋ねて、めんどくさくもせっかく述べてやった見識に対して文句言う。
では女が質問をするときは文句を言いたいときなのかというとどうやらそうでもなくて、
多くは構って欲しいときなんだろうなっつー気はする。


てなワケでオレの視線はPSPの画面から、
仁亜の身体のほうに徐々にシフトしてってる。
いまんとこ視線だけは大いに構ってることになるんだが、
こういうのは女は喜ばねーのかどうなのか。
多分すげー方向違ってんだろうけど、どうにもならねぇよなとは思う。


「では次の質問だ」
「めんどくせ。どうせヒヨコとニワトリの前後の話とかだろ?」
「ほう。よくわかってるじゃないか」
「つかよ……クーラーつけた方がいいんじゃねぇか」
「だな。どうやら頭がおかしくなってきたようだ」
「同感だ」


リモコンは確かベッドの枕元にあったはずだと思い、
片手でゲーム操作しながら後ろ手に探ったらやっぱそこにあって、
ピッ、と電源入れて元の位置にまた投げる。


ゲームのほうは今のオレは、早くHPをゼロにすることだけに集中している。
仁亜のほうは画面上で測る限り、
ゼロにはならないようになんとか保たせようとしてるように見える。


「……部屋帰んねーの?」
「帰らないが?」
「……マジか」
「折角冷えてきたというのに帰れと? 私の部屋は蒸し風呂だぞ」
「まぁそりゃな」


ま、なんつかマジ擦れ違うワケで。
考えてることがどうにも合致しないワケで。


これが男ならこういうとこものすげーラクで、時間経つの早くてストレスもない。
仁亜だとすげー(は言いすぎかもしれないが)イラッとしてめんどくさくて、
けど、帰したくなくなってくるこういう気持ちはなんて言ったらいいんだろうか。
男同士なら途中じゃぜってーやめねーゲームを故意に終わらそうとするこれは、
掛け値ナシに女としか味わえねー機微であることは間違いない。


「私が部屋に帰らないと何か問題でもあるか」
「いや?」
「では何故聞く」
「礼儀だろ」


オレはここでゲーム上で自爆した。
リモコンと同じ位置にPSPを投げて、なんだこれすげー解放された気分だ。
そう柔らかくもねぇベッドに完全に背を預けてアクビながらに伸びをすると、
あーだかんーだかな緩慢な声が出た。


驚いたのは、欠伸をやめて姿勢を戻したとき、
目の前まで仁亜が迫っていたことだった。
ゲームはどうしたのか知らないが、
オレが脱落して仁亜ひとりで攻略できるクエストじゃ決してない。
仁亜の誕生日にオレが間に合わなかったからという、
理不尽極まりない理由でこないだ買わされた限定カラーの本体が、
ラグの上でなんか悲痛な音声を発して転がってる。
胡座にした足に遠慮なく分け入ってくる仁亜の、
ずいと寄せられたキレイな顔に、思わず唾を飲んで顎を引いた。


「……なんだよ」
「それも『礼儀』か? 聞かずともわかっているくせに」


ぷちぷちとオレのシャツのボタンが外される。
器用としか言い様のない手つきをしてる。
長い指。指輪とかが似合いそうだなと思ってるが、
そういうモン強請ってこねーしつかPSPのほうやったばっかだし、
ま、単純に金がねぇってのもある。
オレが引いてる間に、仁亜はしなやかな指でシャツを綺麗に剥がしてしまった。
続けて下のTシャツに手を掛けようとするのを、オレは慌てて握って制止した。


「ちょっと待て。問題ならある」
「……なんだあるのか」
「男子棟だろ。一応」
「自ら招き入れておいてか?」
「ついてきたんだろお前が!」
「だがそちらの許可がなければ私がいまここにいるはずもないな」


全く
礼儀もなにもない女だ


オレがひた隠しに隠して、蒸し暑い部屋ん中でうやむやにしてた部分を、
そんなふうに暴かれたら元も子もない。


少しは男を立てるとかそういうの、ねーのかよ的な。
それともそれこそがお膳立てで、
圧され気味な力関係をオレがどうやって逆転すんのか的な、
そこんとこに興味を持っていたりすんのかどうか。



だとしたらオレとしては宣戦布告しなきゃなんねーワケだが



とか思いつつ近いちかい唇にキスをした。
その瞬間に、少しだけ傾く顎のラインが好きだ。
腰に手回したときにピクと括れる気がする身体の線と、
つるっつるの毛先が指に纏わりつく感触が好きだ。
オレのすることを間違いなく予測して、呼応して変化させる姿勢が好きだ。


二つの機体からゲームオーバーの音楽が繰り返し繰り返し流れているのを、
どうにかしねーとと思いながら唇が離せない。
そんな音声より仁亜の声が聞きたかった。
押してみたり吸ってみたり、角度を変えたりいろいろやって、
抱いてく身体はものすげー熱くなっていくのに、
とにかく喘ぐということをしない。こいつは。


それどころか面白そうに喉を鳴らしてやり返すのに悔しい声音を漏らすのはオレのほうで、
何回やってもそこんとこだけ変わらない。


「ふふ。ここでは都合が悪いなら、場所を変えてもいいんだぞ?」
「変えるワケねーだろ」


息継ぎの間にそんなことを話した。
ベルトを緩めながら、室温をあと二度か三度か下げようかどうか、迷っていた。


涼しくなったのは頭ん中だけだったらしいが、
頭冷やしたことで本来、ニワトリの話したかった訳じゃねぇことを思い出したのは良かった。
オレとこいつの意見が、
本当は最初から合致してたことを思い出せたことは本当に良かった。
折角冷やしたはずの身体はTシャツん中で、エアコン入れる前よりじめじめしてる。


「声出すなよ」
「聞いたことでもあるのか」
「だから今日こそはつってんだろ。言わせんな」


細っせー腰。とか思いながら、
短めな制服の裾から手を入れる。
何もかも違っても、繋げられるとこがいっこでもあればそれで、
っていうか、
違ってもいいから繋げてみてーって思うかどうか、
何度か何十回か繋げてりゃそのうち部分的にくらいにはわかるもんもあんだろ的な、


それがいつになるかは棚に上げておくとして、
とりあえずいまんとこそれだけが、オレに出せる答えみたいだ。




* Which Comes First, Egg or Chicken? 完 *




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